意識と無意識にギャップがあると苦しむ
なぜ生きるのが苦しいのか
私自身、小中高と人間関係が得意ではなく自然体の自分では好かれないのではないかという思いを抱きながら生きてきました。
でも、なぜ自分が苦しいのかその理由が全くわかっていませんでした。
高校の授業で、コンクリート詰め殺人事件の少年たちの裁判記録を読む機会があり、親子関係がうまくいかないと子供は性格が歪み不幸になるというのを知りました。
その時に、私が苦しいのは親子関係に問題があったのかもしれないと初めて意識できました。
その後、本を読んだり、心理学を学んだりしていく中でなぜ苦しかったのかがわかってきました。
苦しんできている人の大半が一番最初の人間関係である親子関係で躓いているのではないかなと思います。
親は、条件をつけて可愛がったり、可愛がらなかったりしますよね。
こんなことするお前はだめだなと言われたり、もっと頑張らないとだめだといわれたり。
すると、頑張っていない自分はだめだ、優れていない自分は愛されないと自分に罪悪感を抱き自分を嫌ってしまいます。
自分はありのままでは受け入れてもらえない、欠けた存在だ、ダメな存在だと考えるようになってしまいます。
そうやって自分を嫌ってしまう人もいますし、自意識過剰な人になってしまう場合もあります。
どういう人が自意識過剰になるか。
自分は欠けた存在であるというのを意識したくないと思うとそれを無意識に抑圧してしまい、意識の上で自分はいいのだと必死で思おうとします。
常々それを人に言いたくなり、自慢を繰り返して人から嫌われてしまい苦しむ人もいます。
人間は無意識にある自分に対しての正直な感じ方(親に植え付けられていたものだから真実かどうはわかりません)と、意識の上で思っている自分の感じ方にギャップがあると苦しくなってしまいます。無意識と意識が統一されていないと本当に苦しくなります。
一貫して冷たい親に育てられた人は、親を客観的にみることができるのですが、ある時は可愛がられ、またある時は冷たく拒否されたような経験がある子供は、自分の親が冷たいという感情を抑圧してしまう場合があります。
自分の親が本当は冷たくて自分を愛していないのだと自覚することは子供にとっては恐怖です。
その感情を意識することは恐ろしいので心の奥底に抑圧します。
親の良い面だけを意識して、こんなに自分によくしてくれるし、自分の親はいいのだと思おうとします。
このような男性と結婚すると、女性はマザコンに悩まされることになります。
女性側も親にべったりで親に支配されていて、パートナーとの関係がうまくいかない人もいると思います。
愛情の欠如した冷たい親に育てられた子供は、大人になってからも冷たい友人やパートナーを引き寄せてしまいます。
誰しもが意識の上では温かい人と出会いたい、温かい人と付き合いたいと思っていますよね。でも実際は親と同じように冷たいところのある人とばかり出会ってしまいます。
本から知った話なのですが、
アルコール依存症の父を持つ女性が、パーティー会場でパッと目が合って惹かれあった相手が父親と同じアルコール依存症の男性だったそうなんです。
自分の父親に苦労させられてきてアルコール依存症の人は嫌だと思っているのに、出会った人が父親と同じだったそうです。
私たちは一番最初の人間関係を繰り返していく傾向があるそうです。
無意識で自分の親と同じような相手を引き寄せてしまいます。
意識の上では温かい人と付き合いたいと思いながらも無意識がその人を支配して冷たい人を引き寄せてしまいます。私たちは意識ではなく無意識に支配される傾向があることを知っておいてください。
心理学的にはアダルトチルドレンの共依存症の特徴でもあります。
本物のイクラを食べたことがある人は、偽物のイクラを食べたらすぐに偽物だと気が付くことができます。
でも、本物のイクラを食べたことがない人は偽物も本物だと思って騙されてしまいます。
人間関係もこれと同じです。
一度でも本物の愛ある関係を知っていれば、偽物の関係にNOと言って離れていけます。
でも一度も本物の関係を知らない人は、偽物の関係であっても偽物だと見抜くことができずに離れていくことができません。
元々さみしく育っているので偽物でも失いたくないとしがみついて離れられなくなってしまう傾向があります。
こうやって、人間関係に苦しんでいる人がたくさんいるのではないでしょうか。
じゃぁどうしたら苦しくなくなるのか。
苦しんでいる人は、自分の無意識にどのような感じ方が隠れているのだろうと考えてみてください。
何か見たくないものが隠れているのではないかと。
認めるのが苦しくとも本当は自分はこう感じていたのだなと意識の上に引っ張り上げてくるだけでも相当楽になります。
自分はいいんだ、いいんだと思っていたけれど、心の奥底では自分は欠けたところがあると感じてきたんだな。
とか、自分の親をいい親だと思おうとしてきたけれど、実は冷たいところのある親だったのかもしれない。
こんな感じです。
私の体験を一つ例にあげてみますね。
結婚後、母に言われた一言にハッと気がつかされました。
『いつも彼のことをいいんだ、いいんだって言っているけど、彼と結婚してから苦しそうだよ』と言われたんです。
彼は口うるさいことは言わないし、家事も手伝ってくれたり優しいところもたくさんあるのですが、本当に味方になってほしい助けてほしい時に力になってくれていませんでした。嫁姑関係などで。
でも自分の結婚した相手が冷たいところがあるとは自分として認めたくなかったんだと思います、彼が私によくしてくれたところを見て、彼はいいんだ、いいんだと自分にも周りにも言い聞かせていました。
でも、母のその一言でそうか…私は彼と結婚してから苦しそうになったのかと客観的に見ることができるようになったんです。
無意識に押し込んでいた気持ちを意識の上に引っ張り出して来れま
した。
意識と無意識が一致してくるとどんどん生きるのが楽になっていきます。
苦しい人は、自分に本当の感じ方を隠している可能性があります。
本当の本当はどう感じているのかなと見つめてみてください。
それを評価したり判断したり批判せずに…実はそう感じていたんだなぁとただ受け入れる。それだけで格段に楽になります。